業界で選ぶな、職種で選べ 〜「音楽に関われる仕事」があなたを壊す前に〜

こんにちは。今回は「業界で選ぶな、職種で選べ」というテーマで、少し耳の痛い話をしたいと思います。特に「音楽業界で働きたい」と夢見ている就活生にこそ読んでほしい内容です。
「音楽に関われるから満足です」……本当にそれでいいのか?
音楽業界を志望する学生の多くが口にするのがこの言葉:
「給料は安いし、労働時間も長いけど……でも音楽に関われるから満足です!」
一見、美しい自己犠牲のように聞こえます。けれどそれは、「音楽に関われる」ことと「自分がやりたい・向いている仕事」であることを、同じものだと誤解していないでしょうか?
現実の音楽業界には、楽器にも楽譜にも触れず、ひたすら電話とメールとExcelに追われる日々が待っています。アーティストと一言も会話せず、会場にも行かず、配送ミスの責任をかぶるだけの「音楽に関わる仕事」もあるのです。
ピラミッド建設の逸話を、あえて逆の意味で読む
こんな有名な逸話があります。
旅人がピラミッド建設の現場で三人の労働者に出会い、こう問いかけました。
「あなたは何をしているのですか?」
一人目はこう答えました。
「レンガを積んでいるんだよ。」
二人目はこう答えました。
「生活のために働いているんだ。」
そして三人目はこう答えました。
「私はピラミッドを作っている。」
多くの人はこの三人目を「素晴らしい」と評価します。確かに、視座を高く持つことは素敵なことです。けれど、もし彼が腰痛持ちで重労働にまったく向かない体質だったら?
どれほど「ピラミッドを作っている」という意義を感じていても、身体は悲鳴を上げ、最終的には潰れてしまうかもしれません。
例:筆者は乗り物好き。でも運転士にはなれない
実は私自身、子どものころから電車やバスが大好きで、今でも時刻表を見てニヤニヤできるくらいの“乗り物オタク”です。夢は鉄道会社に入ることでした。
でも、あるとき気づいてしまったんです。
私は運動神経が極端に悪い。
咄嗟の判断が苦手で、反射神経も鈍く、ゲームですらアクション系は苦手。そんな人間が電車やバスの運転士になったらどうなるか――下手をすれば、大事故につながります。
どれだけ「好き」でも、「関われて嬉しい」と思っていても、適性がなければ、それは周囲にとっても自分にとっても悲劇なんです。
「音楽業界に入りたい」あなたも、もしかすると…
だからこそ、音楽が好きな人ほど、一歩立ち止まって考えてほしいんです。
あなたが好きなのは、ライブの臨場感ですか?
それとも、音楽理論の奥深さ?
楽器演奏ですか? 作曲ですか? 人を売り出すマーケティングですか?
もしそれが「現場の熱気」や「演奏の手触り」だったとしたら、デスクワーク中心の事務職や、厳しい数字に追われる営業職は、いくら“音楽に関わっている”とはいえ、心のどこかが削られていくかもしれません。
職種ベースで仕事を選ぼう
- 書くのが好きなら、編集・広報・ライター。
- 仕組みづくりが好きなら、企画・運営。
- 人と話すのが好きなら、営業・接客・人材。
自分の適性や「何をしているときに満たされるか」を職種ベースで考える。そこに、「音楽業界」というフィルターをあとから通してみる。それでも合う仕事があれば、それが本当の“天職”かもしれません。
最後に:好きなものを、嫌いにしないために
好きなものに関わりたい――その気持ちは、本当に素晴らしい。でもその気持ちが、「向いていない仕事」への盲信につながったら、いつかあなたは疲れ果てて、好きだったはずの音楽すら嫌いになってしまうかもしれません。
だからこそ、自分を守るためにも、「業界で選ぶな、職種で選べ」。
あなたの“好き”が、ずっと“好き”でいられる未来を、私は応援しています。
名古屋の音楽教室
株式会社ナージ


