就活生諸君、「労働」とは何かを知る時間です。応援の気持ちをこめて

このブログが「若者たちの労働意欲をそごうとしているのではないか」という、ごもっともなようで的を射ていないご指摘を時折頂戴いたします。お気持ちは、わからないではありません。何しろ、ここに書かれていることは、就職活動をなさっている皆様にとって、耳ざわりの良い言葉ばかりではございませんから。
しかしながら、誤解のないように申し上げますと、当ブログの管理者は、業界一“正直”な発信を心がけております。なにとぞ、建前の応援よりも、地に足のついた情報提供の価値をご理解いただけますと幸いです。
というわけで本日は、就活中の皆さまを心から応援する目的で、戦後日本における労働歌を10曲ご紹介いたします。労働の喜び、怒り、希望、諦念、そして矛盾。すべてがここに詰まっております。どうぞ、履歴書をしたためる合間にお聴きください。
①『炭坑節』 福岡県民謡(昭和初期〜戦後まで)
「月が〜出た出た〜月が〜出た〜ヨイヨイ」
この陽気なイントロに騙されてはいけません。本来この曲は、重労働であった炭鉱労働者の悲哀と連帯を背景に持っています。月夜に歌い踊るのは、昼夜逆転の過酷な環境ゆえ。ブラックな環境にも笑顔を貼りつけざるをえなかった人々の姿が、皮肉にも軽快な節に乗って響きます。
②『インターナショナル』 訳詞:片山潜など
「起て飢えたる者よ 今ぞ日は近し」
もはや説明不要の世界的労働者讃歌。戦後の労働運動でもしばしば歌われました。“階級闘争”などという耳慣れぬ概念に身構える方もおられるかもしれませんが、要するに「不条理な待遇に我慢するな」ということです。企業の説明会で聞かされた「家族のような職場」に違和感を覚えた皆さま、一度お聴きになってはいかがでしょう。
③『沖縄を返せ』 作詞:全司法福岡青年部
「沖縄をかえせ 沖縄をかえせ わたしの手に」
一見して労働歌ではないように思われるかもしれませんが、この歌もまた「国家による切り捨て」に対する庶民の怒りが根底にあります。基地労働者、自治体職員、多くの「働く人々」の声なき声が、この3行に集約されています。「わたしの手に」=自己決定権、まさに就活にも通じる価値観ではないでしょうか。
④『わが大地のうた』 作詞:笠木透/作曲:田口正和
一見して格調高く聞こえるこの合唱曲。だが歌詞には「われらは叫ぶ 人間の叫びを」という、実に直球な怒りが込められています。大地に根ざすとは、すなわち「どこにも逃げ場のない現実に立つ」ということ。正社員にも派遣にも逃げ場がない現代の労働環境において、この曲の響きはあまりにリアルです。
⑤『人間の歌』 作詞・作曲:高田渡
フォーク調の柔らかなメロディに、諦観すれすれの風刺がにじむ名作。「人間なんてラララ〜」と繰り返されるこの歌は、働くとは何か、生きるとは何かを、わざと曖昧にしたまま、問いを残します。ESを書くたび、自分という存在の“売り”を考え込んでしまうあなたに、ぜひ。
⑥『君よ八月に熱くなれ』 作詞:阿久悠/作曲:中田喜直
これはやや異色の“努力肯定ソング”ですが、その熱さがもはや労働における狂気すら彷彿とさせるものがあります。「目標があるから がんばれる」と言いながら、目標が達成されても“次”を求められる無限地獄。そこにある“熱さ”が本物か、ぜひご自身で確かめてください。
⑦『友よ』 作詞・作曲:岡林信康
「友よ 夜明け前の闇の中で 友よ 闘いの炎を燃やせ」
学生運動の歌として知られていますが、労働運動とも密接です。今この瞬間、「自己責任」と「成果主義」の中で孤独に戦っているあなたへ。この「友よ」の声が届けば、たとえ現実が変わらずとも、孤独は少しだけ癒されるかもしれません。いや、癒されないかもしれませんが。
⑧『私たちの望むものは』 作詞・作曲:岡林信康
「私たちの望むものは 生きる苦しみではなく
生きる喜びなのだ」
岡林信康、再登場である。どうしてこうも、彼の歌は「前向きなふりをしながら、現実のひび割れを指でなぞるような」妙な説得力を持つのか。
就活とは、まさに「望むもの」と「与えられるもの」の齟齬を乗りこなす芸術です。履歴書の「志望動機」欄を前に、この曲を再生する行為そのものが、ちょっとしたレジスタンス。
⑨『ラヴ・ミー・テンダー(Love Me Tender)』 エルヴィス・プレスリー
えっ、それ労働歌じゃないですよね?……と思われた方。ご明察。しかしながら、過酷な兵役や冷戦の影でボロボロになった心がこの優しい旋律を求めたという歴史を無視できるでしょうか。
労働と戦争、国家と個人、その境目が薄れていく時代の空気感。それを背景に聴くなら、この甘いバラードもまた「労働歌」としての一面を帯びるのです。異論は歓迎します。あくまで応援の一環としてご紹介しておりますので。
⑩『We Shall Overcome』 民謡(アメリカ)/公民権運動の象徴
「We shall overcome, we shall overcome someday」
アメリカの労働運動、公民権運動で何度も歌われたこの曲。じつにシンプル、しかしそれだけに魂を揺さぶるメッセージです。
「いつかはきっと克服する」という言葉が、なぜかいつまでも克服できない”ことを前提に歌われているように聞こえるのは私だけでしょうか。
就活が終わっても、社会に出てからの“闘い”は終わりません。むしろ、始まります。だからこそ今この曲を、静かに自分のために歌ってみてください。
終わりに:応援とは、ときに不快で、しつこく、そして正直であるべきです。
以上10曲。どれも軽く流し聞きするには、湿度も温度もやや高めかもしれません。
しかしながら、実際の労働とは、空調のきいた説明会会場のような環境ばかりではありません。
就活中のあなたに必要なのは、もしかするとこうした「気持ちよくはないけど、あとを引く」曲たちなのではないでしょうか。
当ブログは、労働に希望を持てという前提ではなく、希望を持ちづらい現実に抗う方法を探ることを応援しています。
ですから、ここで紹介する楽曲もまた、そういう姿勢の表れであると受け取っていただければ幸いです。
もちろん、「もっと明るい歌が聴きたい」と思ったときは、どうかご遠慮なくリクエストを。
皆さまの社会への一歩を、建前と本音、両面からお支えしてまいります。
※株式会社ナージは特定の強い思想をもつ企業ではありません。むしろ思想的に公平・ニュートラルな企業です。
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